インフルエンザ脳症の娘を見守る父の日記

インフルエンザ脳症と診断された私の0歳の娘「しー」についての記録。

低体温療法の終了

5/31日 

私達は最近毎日11時くらいに起きている。

起きてから定時連絡までの時間、不安で耐えられないので、寝ることを身体が選んだ。

今日はイオンで時間潰しをする。

相変わらず家に居れる心境ではない。

<お昼の定時連絡>

11時ごろ、連絡がこない、、、遅いぞと思っていたけど、順調に終わって検査に移ったんだろうなと信じて待つ。

13時くらいに定時連絡があった。順調に36度まで復温し、MRIの撮影に入ったとのこと。

本当に、しーはよく頑張った。

 

<夕方の定時連絡>

特に問題はなし。

筋弛緩薬を止めたとのこと。

(管がたくさんついており、治療に支障が出るので筋肉を動かさせないために筋弛緩薬が投薬されていた。)

すると、目が開いて(!)手足を動かしてみたり、口をもごもごさせてみたり、泣きそうになってみたりしていたと看護師さんから連絡を受けた。

本当に良かった!少し不安がなくなっただけだが、それでも!安心した!

(目が醒めなかったらどうしようという不安があった)

鎮静薬がまだ投薬され続けているからまだ眠そうで意識もはっきりしていない状態とのこと。

それでも本当に良かった!

 

低体温療法フェーズ2その2

5/30 土

部屋の片付けで時間潰し。

しーのいない生活が味気ない。

生まれる前は、生まれた後の生活の楽しさなんかイメージ出来んからね、もう戻れないほどにしーは私にとってかけがえのない存在となっている。

 

毎日昼と夕方に電話で定時連絡をもらうようにした。

新型コロナの影響で面会ができないので電話……

意識ないのはわかっているけど、顔が見たい。

復温の方は順調に、問題も特になく。

35度代まで既に上がってきているとのこと。

意識はいつ戻るのかと聞いたら、早くて水曜日くらいだって。

低体温療法が終わったらすぐだと思ってたから、また更にちょっとショック。

低体温療法フェーズ2

5/29 金

少し遠出、コーヒー生豆を調達、会社にパソコン取りに行くとかして何とか家に居ないように。

18時

体温34度を48時間キープ、

夜の間に少し血圧が下がることがあったが、一時、投薬により朝には正常値になっていたくらいで、特に何事もなく終わった。

しー。よく頑張った!(泣)

これをもってフェーズ2の復温にはいる。

フェーズ2では1時間当たり0.05度ずつ体温を上げていくとのこと。

フェーズ1よりもフェーズ2の方がリスクが高く、脳波をモニタリングして、また徐波が出たりしたら相応の対処が必要となる。

フェーズ2が終わるのが40時間後=5/31(日)のAM10時。(長いよ…)

 

しー の1歳の誕生日

5/28 木

悪夢のような昨日の翌日。今日はしーの誕生日。

しーはまだICUで意識がなく、脳の炎症と闘っている。鎮静剤で脳の動きが止まっているので呼吸も自分ではできない。生きるのが機械任せの状態。

 

18時が面会予定なのでそれまでどう時間を潰そうか。

とりあえずイオンと電器屋に行った。

家にはいられない。幻覚が見える。

会社には、今週いっぱい休むことを伝えた。

 

私達にできることは何もない。

本当に、何もなかった。祈ることくらい。

ゲームやYoutubeを見てみるが、ときおり、「しーが頑張ってるのに何してんだ」と、恐ろしい罪悪感に襲われる。

それでも、何も出来ないから、とにかく今は信じるしかないんだと思ってあまり考えないように徹した。

 

保育園にも連絡した。

保育園ではインフルエンザは流行っていなかったようだ。5月やし、当たり前よな。

はやく抱っこしてあげたい。

しんどいからといってサークルに入れてあんまり相手しなかったことを後悔している。もっと抱っこしてあげれば良かった。

 

<面会>

嫁の両親、嫁と私で面会に行った。嫁は風邪だったのでやはり面会NGだった。嫁は病院Bに入る直前に救急車から降りたからそれからしーとは会っていない。

私と義両親でICUに入った。

 

景色は昨日と変わらず、しーは管だらけでまぶたも閉じ切っていない、口も半開き、意識のない状態だった。声をかけても反応はないが、しーの目から涙が出てきているのに気付いた。看護師さんが涙を拭いてあげてとペーパータオルをくれた。

 

お誕生日おめでとうと伝えた。

ふかかふっかのかふか君人形の歌も流して祝った。

看護師さんが「おたんじょうびおめでとう」の垂れ幕?を作ってくれて、しーのおなかに掛けてあげた。

私たちがICUに入室したときからしーの脈拍と血圧が少し上がったとお医者さんから聞いた。きっと気付いているんだろうね、とのこと。

泣かせるじゃねえか。

きっと聞こえてると思って、なんども誕生日おめでとうと言った。

門外不出を条件に写真を撮っていただいた。

これで中の様子を嫁にも見せることができる。

その間ずっとしーの目からは涙が出ていた。

やっぱりこちらに気づいていたんかな。

 

帰りの車の中、エンジンをかける前に写真を見せた。

 

しーのお祝いなのでお寿司を食べて帰った。

 

家につくとやっぱりしーが遊ぶ幻覚が見えた。

リモコンの色のついたボタンばっかり押すんだ、あいつは。

 

インフルエンザ脳症は予後が悪いと聞いて、不安で胸が押し潰されそうになる。

・(一番考えたくないこと)たらどうしよう

・低体温療法の間に地震があったらどうしよう

・低体温療法の後目を覚さなかったらどうしよう

・障害が残ったらどうしよう

・パパって言ってくれなくなったらどうしよう

・ハイハイができなくなったらどうしよう

・視点が合わなくなったら、こっち向いてくれなくなったらどうしよう

・最近スプーンを持たせて、ご飯を自分ですくったらニコって笑ってた。自分で食べられなくなったらどうしよう

 

不安が尽きない。ベビーサークルの中でしーが遊んでいるのが見える。

事の始まり

5/27 水

<事の起きる前>

・しーの1歳のお誕生日の前日。この日まで1ヶ月ほど風邪を引いていた。鼻水と咳はさほどでも無かったので保育園に通っていて、慣らし保育中だった。

・午前4時ごろ、しーが泣いて起き、熱を測ると38.6度の熱があった。ここまでの熱は今まで出たことが無かったが、いつものように寝かしつけた。

・午前7時ごろ、私と共に起き、1階に降りてアクアライトとミルクを飲ませた。朝起きたらすぐにミルクとおむつ替えは私の担当で、その日もいつものようにミルクをあげた。起きてからずっと泣き止まず、熱がしんどいんやなと思っていた。8時前ごろ、泣き疲れたのか、また寝た。

・9時ごろ そろそろしーを病院に連れて行かないとと思い(しーは風邪をひいていたので)、病院に電話をかけると予約してくれと言われたから10時に予約した。

・9:15ごろ しーを起こしてベビーチェアに乗せた。その後私は自分のご飯の準備をしようと台所に立ち、Twitterをしていた。台所からしーに笑いかけると、笑い返してくれた。しーは自分の両手の指先を合わせて遊んだりしていた。

 

<事の始まり>

・9:41 「ウワーン!!!」と聞いたことない程の大きな声で突然泣き始め、見ると手足をのばし身体をのけぞらして大泣きしていた。次の瞬間、しーはけいれんし始めた。

・9:44 119番電話。私はその様子を動画で撮っており、嫁はしーの胸をトントン叩きながらずっと声をかけ続け、意識をこちらに向けるようにし続けた。唾液が口に溢れてとても息がし辛そうだった。眼はずっと上を向いて焦点が合っていない状態だったが、私が声をかけながらしーの周りを移動したとき少しこちらを目で追った。

・9:56 救急車到着。嫁がしーを抱っこして救急車に乗り込む。けいれんが治まらない。酸素を当ててもらっていたが息は苦しそうだった。

・病院(病院A)に到着。まだけいれんは治らない。けいれんを止める薬や、点滴、呼吸の補助用の管など、瞬く間に管がたくさんつけられ可哀想だった。私達はそばの長椅子でただ待つしかできなかった。熱性けいれんが少し長引いたものでありますように……。程なくしてインフルエンザA型の陽性を知らされた。えっ⁉︎インフル⁉︎この時期に⁉︎ その後ICUへ連れて行かれ、脳波を確認したところ高振幅徐波が見られたと連絡があった。よりインフルエンザ脳症の疑いが濃くなり、転院が決まった。12時ごろだった。嫁は救急車で転院先の病院(病院B)に向かい、私は自分の車で向かった。

 

 【補足】

・私はインフルエンザ脳症についてよく知らず、嫁はけいれんが起こった時の対処について良く知っていた。自分が無知だと思い知らされた。

・私ひとりの時に起こっていたら、、、、救急車を呼べず、容態は悪くなっていただろう。本当に恐くなったので、育児の病気関連の知識習得は怠らないようにしようと肝に銘じた。

・自分は物知りであるという自負があった分、ショックが大きかった。

・この日はたまたま嫁が体調不良で会社を休んでおり、私もしーの熱と嫁の看病のため休みを取っていた。偶然だが、休んでいて本当に良かった。

・脳波とインフルであることから、転院を判断してくれた病院Aの医師には本当に感謝している。

 

<病院Bにて>

・転院先の病院に到着。救急診療室に案内され、そこで初めて明確に「インフルエンザ脳症」と診断され、今後の治療の方針についての説明を受ける。低体温療法を行うことになった。(下記補足参照)

・インフルエンザのワクチン、打っても抗体ができず意味がないからと聞いて打たなかったが、打てば良かった。やらなかった後悔。

・しーの新型コロナの検査のため、一旦私達は外の車の中で待機。もししーが新型コロナ感染者だった場合、私達は濃厚接触者となってしまうからだ。

・16時ごろ新型コロナ陰性がわかり、私達は空いている診療室へ案内された。新型コロナについて、さらに念のためトリアージシートを書く。

・EICU前の待合室へ案内される。治療に必要な同意書を書く。ここで待つ時間がかなり体感として長かった。

(・18時 低体温療法開始。)

・18時15分ごろ、低体温療法開始したことが私達に告げられる。嫁は風邪を引いていたので面会NGだったが、私と嫁方の両親は面会OKが出たため、EICUへ入った。

 

管をたくさんつけられ、意識もない、冷えた小さな身体がベッドに横たわっていた。

明日、誕生日なのにね。

無事に1歳を迎えられなかった。

何で、うちの子が。

 

・嫁はEICUに入れなかったので待合で待っていた。新型コロナの影響で今はEICUは全面面会禁止だと聞いたが、明日がしーの誕生日ということもあり、明日も面会許可がおりた。嫁は明日も入れないだろうが、精一杯祝ってやろう。

・そのまま車で家まで帰った。運転している間、涙で前が全然見えなかった。

・家についた。しーが遊んでる幻覚が見える。嫁にも同じように見えていたようだ。ハイハイで寄ってくるのが見える。私は泣き疲れて寝てしまった。

 

【補足】

低体温療法は、48時間体温を34度にキープし、その後40時間かけて36度まで上げるというもの。脳の活動を抑制し、インフルエンザ脳症による炎症の時期をやり過ごす。その他、筋弛緩薬によって動きを抑制したり、インフルエンザの治療、誤嚥による肺炎の治療、鎮静剤により脳の活動を限りなく停止する。

《低体温療法の予定》

5/27 18時 フェーズ1開始

5/29 18時 フェーズ2開始

5/31 10時 フェーズ2終了